目的別対応
- 発達障害かどうかをはっきりさせたい
- 子どもの特性、発達の状態を知りたい
- 子どもが将来、困らないようにスキルを身に付けさせたい
- 家庭でできることを知りたい
1.発達障害かどうかをはっきりさせたい
発達障害かどうかをはっきりさせたい場合は、病院受診になります。
発達障害であるとはっきりさせること = 『診断』を受けることであり、診断ができるのはお医者さんだけになります。そのため、発達障害かどうかをはっきりさせたい場合には、小児科や児童精神科、発達外来など発達障害を診ることができるお医者さんがいる病院の受診が必要となります。
<発達障害の診断方法とは?>

診断は、お医者さんによる診察(問診)、その中での行動観察、心理検査を行い、発達障害かどうかの診断が行われます。
問診 |
日頃の子どもの様子や、成育歴、既往歴、家族歴などを確認します。 チェックリスト(アンケートのような質問紙)をお母さんや担任の先生に書いてもらうように渡される場合もあります。 母子健康手帳や保育園・幼稚園時の連絡帳、小学校の通知表、子どもの自筆のノートやプリントなど、日常の中での子どもの様子が分かる資料があると話がしやすくなります。病院により、持ち物を指定している場合もありますので、予約の際に持ち物を確認してみましょう! |
行動観察 | 診察室等での実際に子どもが示している行動も見ています。お母さんが気になっている行動が診察室では出ないという場合もありますが、場面により、示す行動が違うのは人としてあたり前の現象です。それも含めて、お医者さんは判断していきます。 |
心理検査 | 知的な発達水準や、発達のバランスを見るものです。子どもの発達に凸凹があるのか、凸凹があるとしたら、何が得意で、何が苦手なのかを把握し、今後の関わりに必要なことを探るものです。 |
診断を受けることはゴールではありません。スタート地点に立っただけです。診断名だけで、子どもの状態が分かるわけではありません。同じ診断名であっても、全く違う状態を示す子どもはたくさんいます。診断で終わりではなく、その後の対応をどうしていくかが、子どもの将来の可能性を広げることになるのです!
<診断を受けるメリット>
子どもの行動・状態が腑に落ちて、気持ちがスッキリしたというお母さんもいます。
先生に子どもの状態を説明したり配慮を求めたりする際の導入として話すことができるため、子どもの状態を伝えやすくなることがあります。ただ、診断名を伝えただけでは不十分ですので、具体的な説明は不可欠です。また、先生に診断名を伝えるかどうかは注意が必要なこともありますので、後程(デメリットのあとで)説明いたします。
診断を受けたからと言って、極端な話、マイナンバーで管理されている個人情報の中にも取り込まれていて、進学先・就職先などに情報が勝手に流れるなんてことはありません。
子どもの行動から「あの子、発達障害があるんじゃないの?」などと噂をするような人はいるかもしれませんが、発達障害かどうか、診断を受けているかどうかは、お母さんや子ども本人が話さない限りは、どこかに勝手に診断を受けた事実が伝わることはありません!
先ほど、「診断はスタート地点に立っただけ」と説明した通り、診断を受けることは、
- 子どもの状態の概要(全体像)の理解
- 子どもの年齢が高ければ、子ども自身が自己理解するためのきっかけ
あくまで、「全体像」の把握や「きっかけ」に過ぎません。診断を受けたことにより、より的確で詳細な状態の把握をし、子どもの特性に合わせた対応を行って、子どもが将来、困らないようなスキルを身に付けられるように導いていくのです。
<診断を受けるデメリット>
お母さんの気持ちとして、受け入れることができる、これからの未来に目をむけることができる耐性がないと、非常に強い心的負荷がお母さんにかかることになります。お母さんの心へのダメージが大きいと、子どもとの関わりにおいてもマイナスの影響が生じ、お母さんにとっても、子どもにとっても、好ましくない状態に陥ってしまう可能性があります。
診断を受けること自体のデメリットではありませんが、診断を受けた後、周りの人に診断名を伝えるかどうかは、慎重になることが必要な場合もあります。
発達障害など障害に対する理解や考え方は、残念ながら人それぞれで、偏見的な意識を持っている人がいるのも事実です。診断名だけで子どもの状態を理解できるものではありませんが、診断名を聞いただけで「こういう子なのね」と詳細を知ろうともせず、断片的な知っている情報だけで決めつけてしまう人も中にはいます。先生に伝えるときなど、相手がどのような理解をしているのか、どのような考え方なのか、対話を通して探りながら、子どもの状態(目に見える行動)を伝えることを優先し、診断名はしばらく伏せておくという流れで話を進めた方がよい場合もあります。

2.子どもの特性、発達の状態を知りたい
子どもの特性や発達の状態を客観的に知るためには、心理検査を受けることになります。
心理検査は、診断を受ける際に用いられるものではありますが、心理検査を受ける=診断されるわけではありません。つまり、病院で心理検査を受ければ、病院は診断ができる機関なので、結果によっては、親御さんの想いに関係なく、診断される場合もあります。ただ、心理検査を受けられる機関は病院だけではありませんので、病院以外の機関で受ければ、客観的に子どもの特性・発達の状態を把握し、どういう対応が子どもに合っているのかを相談することにつながります。
<心理検査とは>
(1)全体的な発達水準の把握(同年齢集団の中で、どこの発達段階に位置しているか)
- 年齢相応か? ゆっくりとした発達? 年齢よりも高い?
- 周りの子との違いは、個人差の範囲なのか? 違いがあるのか?
(2)発達のバランス(凸凹の有無)の把握(子ども自身の中で、能力の差があるか)
- 子ども自身の中で、認知処理機能のアンバランスさがあるのかどうか?
- アンバランスな状態であれば、どこを高められるようにすると生活しやすくなりそうか? あるいは、弱いところをどのように補っていく方法を身に付けられるとよいか?
※得手・不得手の差が大きいように感じるが、検査結果上、凸凹に大きな差がない
→ 個人差の範囲内での得意・苦手のレベルの差
※検査結果上、大きな凸凹がある
→ 認知処理機能の差が大きいため、生活の中でしんどさ、生活しにくさを抱えている可能性が高い。(しんどさの程度や生活しにくさは、凸凹の出方により、さまざま。)
⇓
心理検査の結果から、(1)(2)を把握することにより、
子どもにとって「今」および「将来」生活しやすくするために、
どのような関わりがあるとよいか、
これからの対応方法を探っていく!(=心理検査を受ける目的)
<心理検査を受けることができる機関>
実施している機関により、心理検査を受けられる条件や費用は異なります。
「心理検査を受けたい」と言って、心理検査を受けるためだけの利用は受け付けていない場合も多いです。
実施機関 | 心理検査の実施状況 | 費 用 |
病院 |
診察の中で、医師が必要と判断したとき (診断や経過観察が目的となることが多いです。) |
健康保険適用 |
児童相談所 |
1.療育手帳の取得・再判定 2.継続相談を行う中で、必要だと判断されたとき |
無料 |
教育相談センター |
1.継続相談を行う中で、必要だと判断されたとき 2.学校から依頼されたとき |
無料 |
大学の心理相談室 |
1.相談の中で必要だと判断されたとき 2.心理検査を受けることだけを目的とした利用が可能な場所もある。 ※大学の心理相談室は、心理学部/心理学科の大学院生の実習機関として設置されています。 |
5千円 ~1万円程度 (健康保険適用外) |
民間の相談機関 |
それぞれの機関により、受けられる条件は異なる。 心理検査を受けることだけを目的とした利用が可能な場所もある。 |
1万円以上 およそ2~3万程度 (健康保険適用外) |
※機関名は、地域により、異なる場合があります。「機関名」+「お住まいの市区町村名」で検索していただければ、多少、名称は違っても、同一の機関を指しているものが出てくるかと思います。
3. 子どもが将来、困らないようにスキルを身に付けさせたい
子どもが将来、困らないようにスキルを身に付けさせるための方法としては、「療育」を受けることになります。
「療育」は、大きく分けて、①児童福祉法に基づくサービスとして行われているものと、②民間機関が行っているものの2タイプがあります。
(1)児童福祉法に基づくサービス
小学校入学前(年長)までの子ども → 「児童発達支援事業」
小学校入学以降の子ども → 「放課後等デイサービス」
これらは、障害の有無に関わらず、発達に心配がある子どもたちが利用しています。
国と自治体の給付により、1割負担で利用ができます。ただし、お住まいの市区町村から発行される「通所受給者証」の取得が必要となります。
※「通所受給者証」とは、
療育手帳や障害者手帳とは別物です。「通所受給者証」の取得=障害としての診断というわけではありません。あくまで、児童発達支援事業や放課後等デイサービスを利用する必要性があるという判断をした証明書(利用の許可証)になります。
(2)民間機関が行う療育
法に基づいたサービスではなく、サービス提供事業者が独自に行っているもののため、全額自己負担(機関により、金額はさまざま)であり、実施形態や内容もさまざまです。
地域により、民間機関が行っているかどうかの差も激しくなり、行われていない地域もあります。
<児童福祉法に基づくサービスでの療育の実際>
- 利用希望者数と実施機関の数の差
- 児童発達支援事業と放課後等デイサービスの実施機関の数の差
- 放課後等デイサービスの利用状況
1.利用希望者数と実施機関の数の差
サービスを提供している機関の数(受け入れ可能人数)に比べて、利用を希望している子どもたちの数が圧倒的に多い地域がたくさんあります。つまり、利用したいと希望しても、すぐに入れない現状があります。
2.児童発達支援事業と放課後等デイサービスの実施機関の数の差
児童発達支援事業に比べて、放課後等デイサービスを実施している数が少ないのが実情です。小学校入学前まで療育を受けていても、小学校に入学すると療育を受けられる場所がないという場合があります。
3.放課後等デイサービスの利用状況
「児童発達支援事業」を利用している子どもたちは、“発達が気になる”ことで利用していて、さまざまなタイプで、知的発達水準も幅広くなります
一方で、「放課後等デイサービス」では、知的な発達(IQ)が概ね年齢相応以上の子どもの利用は少なくなり、知的な発達がゆっくり(IQが低い)子どもたちの利用が中心となっている場所が多くあります。そのため、知的な発達が概ね年齢相応以上の子どもにとっては、「行きたくない」という気持ちになる子が多い現状があります。
また、小学生の利用が多いのが現状です。そのため、中高生の利用も受け入れていても小学生と同じ環境、中高生の子どもに合わせたトレーニング内容を提供しているところが少ない、中高生にとって「利用したい」「利用してもよい」と思える場ではないなどがあり、中高生の子どもへのトレーニングができる場はかなり限られてきます。
※これらはあくまで「多くのところで」というだけで、「すべて」ではありません。
機関によって、地域によって、異なりますので、お住まいの市区町村に問い合わせて、ご自身の地域の情報を収集してから判断してくださいね(^^)
言葉として「療育」という言葉の認知度が上がっているため、「療育」という言葉を使って説明をしました。ただ、「療育」という言葉にこだわらず、子どもがどんなスキルを身に付けることが必要なのかにより、一般的な習い事でカバーしていくことが可能な場合もあります。
子どもの状態・特性を把握し、子どもに合った方法・ペースで成長を促していくことが大切なのです!
4.家庭でできることを知りたい
家庭でできることを知るということは、つまりはお母さんが子どもに合った対応方法を学び、お母さんからの関わり方を変えていくということです。それは、「ペアレント・トレーニング」や「子育てコーチング」と呼ばれるものになります。
「子育てコーチング」は、一般的な子育て論に基づき、お母さんが自信を持って子どもと向き合えるようにするためにサポートするものです。個人で実施している人が多いように思います。どの程度、発達的側面の知識を有しているかは、人によって差が多いと思われます。
「ペアレント・トレーニング」は、発達が気になる、発達障害がある子どもを育てているお母さん・お父さんを対象に実施しているところが多くなります。ただ、発達が気になる子や発達障害がある子ではなくても、誰に対しても適用可能な考え方を学ぶことができます。子どもへの関わり方を学ぶために受けていて、「これって、旦那にも使えますね!」と言われたお母さんがいらっしゃいました!
<ペアレント・トレーニングで学ぶ内容>
- 子どもの行動の分類、その対応方法
- 肯定的な注目の仕方
- 上手に指示を伝える方法
<ペアレント・トレーニングの学び方>
(1)講座やワークショップへの参加
市区町村や病院、NPO法人、個人など実施している場所は、さまざまです。全国的に実施している場所は少ないため、利用できるエリアにないという場合もあるかもしれません。
(2)本を読んで学ぶ
Amazonで「ペアレント・トレーニング」と検索をすると108件(2019年4月時点)がヒットするほど、たくさんの本が出版されています。実際に講座やワークショップを受けられないという方は、まず本を読んでみるのもいいでしょう!
イラストがたくさんあるものや、文章が多いもの、特定の特性に特化して書かれているものなど、本のタイプもさまざまです。実際に本屋で見たり、レビューを読んだりして、自分にとって読みやすい本を探してみてください(^^)
近くで受けられる場所がない!
本は、どれを選べばよいか分からない!
本では、子どもに本当に合っているのか分からない!
一人でやっても、続かない! 合っているのか分からない!
子どもの状態に合った方法を、きちんと知りたい!
こんな風に感じる方もいることでしょう!
そんな方は、
ぜひ「お母さんのための相談室『Latehu(ラテフ)』」にご連絡ください(^^)
なぜ相談した方がよいのか?
今のままで先延ばしにするとどうなるのか?
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