対応の種類と内容
- 教育・療育的対応
- 薬による治療
1.教育・療育的対応
(1)ソーシャルスキル・トレーニング(SST)
模擬的な小集団の中で、対人関係や集団行動における、より適切な方法を子どもが学習できるようにするためのトレーニングです。
子ども自身にスキルアップを促すものです。専門的な場所でトレーニングを行うことにより、子どもに合った伝え方・やり方が分かるため、お母さんが家庭での関わり方を学ぶことにもつながります。
(2)環境調整
子どもが生活しやすくするために、周りの環境を整えることです。
普段、あたり前に生活している環境は、非常に多くの刺激に溢れています。人は生まれつき、それらの多くの刺激を必要・不必要を瞬時に判断するシステムを持っているのですが、その働きが弱い子どもがいます。そのため、多くの刺激に影響され、場面に応じた適切な行動を引き出すことが困難な場合があるのです。すべての刺激をコントロールできるわけではありませんが、子どもが生活する環境の中で刺激を減らす工夫を行うことは可能な場面もたくさんあります。意識的に刺激を減らすための工夫を行うことで、子どもが生活しやすくなる可能性があるのです。
(3)ペアレント・トレーニング
子どものより良い成長を促すための関わり方や不適切な行動を改善するための関わり方を、「親からの関わり方」の視点で学ぶものです。
子どものスキルアップを促すソーシャルスキル・トレーニングも大切ですが、模擬的場面でのトレーニングのため、社会生活に応用するためにはお母さんの力が欠かせないのです。家庭や、その他社会場面で子どものスキルを高めるためにどう促すか、それをお母さんが学ぶこともとても大切なのです。

3つの方法を挙げましたが、これらはどれか1つをすればよいというものではありません。すべてを行うことが必要となります。3つとも均等な量で必要なのか、どれかに多くの割合をかけて行えるとよいのかは、子どもの状態や環境によって異なります。ただ、どれかがゼロでよいということありません!
「お母さんのための相談室『Latehu(ラテフ)』」が行っているのは、この中のペアレント・トレーニングの位置づけとなります。
(2) 薬による治療
不注意や多動、衝動性、かんしゃく、こだわりなど、子どもの症状の程度によっては、薬を適用することにより、子どもが生活しやすくなる場合もあります。
たとえば、薬を飲んだ効果として、
- 多動性が減り、授業中に座って受けられるようになった!
- 集中力が上がり、先生の話を最後まで落ち着いて聞けるようになった!
- 集中力が上がり、勉強に取り組みやすくなった!
- 注意力が上がり、ミスが減った!
薬の効果は、人によって異なります。劇的な効果が出る場合もあれば、効果がない場合もあります。効果が出る時期も、飲んだらすぐ現れる場合もあれば、数週間後にじわじわと現れる場合もあるなどさまざまです。
子どもの状態が薬の適用となる状態なのかどうかの判断はお医者さんしかできません。薬の適用かどうかを相談したい場合は、病院受診が必要となります。飲んで試してみないと、効果があるかどうかは分からないため、子どもの状態を見ながら種類や量を調整していくこととなります。
当然ながら、薬は良い効果ばかりではなく、副作用が出る場合もあります。副作用の例としては、食欲低下や眠気、体重増加、苛立ちの強まりなどがあります。これも、体質と薬との相性のため、正直、飲んでみないと分かりません。副作用と思われるような症状が現れた場合には、きちんとお医者さんと相談して、種類や量を調整していくことが必要となります。
薬を飲むことに対するネガティブな印象を持っている人はとても多いです。
でも、薬との相性が良ければ、
・子どもの生きづらさが軽減
・お母さんや先生など周りの大人が適切な関わりをしやすい
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子どもの失敗体験を減らす
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子どもの自己肯定感を高める
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意欲的に物事に取り組むことができる子ども
このように、子どもの精神発達に良い影響を与え、健全な成長を促進することにつながるのです!
<薬は一生、飲み続けないといけない?>
「薬を飲み始めると、一生、飲み続けないといけないのではないか」という不安があるお母さんもいることでしょう。
薬だけを頼りにしてしまうと、そうなってしまうこともあるでしょう。でも、薬だけを頼りにするのではなく、子どものスキルアップも必須となります! 子どもへのトレーニングを重ね、子どものスキルが高まったり、苦手を補う方法を身に付けたりする中で、薬に頼らなくても大丈夫になる可能性は十分にあります。子どもの成長を見守りながら、お医者さんと相談して、量を減らしたり完全にやめたりするなどの調整を行っていくようになります。
さらなる対応方法の詳細は、目的別に『発達が気になる子どもの将来の不安を減らすための対応② <目的別対応方法>』に記載しておりますので、こちらもご参照ください(^^)
目的別対応
- 発達障害かどうかをはっきりさせたい
- 子どもの特性、発達の状態を知りたい
- 子どもが将来困らないようにスキルを身に付けさせたい
- 家庭でできることを知りたい