子どもへの普段の話し掛けはどのようなものでしょうか?
「早く宿題やりなさい!」
「ご飯の時間よ!」
「早くお風呂入りなさい!」
「明日の準備やったの?」
「もう寝る時間でしょ!」
このような声掛けは日常の中で、多くの家庭の中で、必要なことと思いますが、子どもへの声掛け、子どもに話しかける内容がこのようなものばかりになっていないでしょうか。これらはすべて『指示』になります。指示が必要な場面は多いと思いますが、子どもに話しかける内容の多くが指示となってしまうと、指示は通用しなくなります。
❀一方的な指示は、コミュニケーションとして不成立
ご自身のことで考えてみてください。現在お仕事をされている方、今は働いていなくても過去に働いたことがある方、仕事のときの状況を思い浮かべてみてください。上司から話しかけられる言葉が「これやって!」~「それできたら、次はこれね!」~「○○できた?」という業務指示。
そして、「これは、○○の方がよいかと思うのですがいかがでしょうか?」とより良いものにと思って自分の考えを提案すれば、「そんなこといいから、この通りにやって!」との返答。上司からのコミュニケーションは、指示ばかりで、自分からの相談や提案に応えてくれることはない。
そのような状況だとすればいかがでしょうか。おそらく多くの方は仕事へのモチベーションが下がり、業務効率も低下、最悪の場合には同僚との人間関係もこじれていくことかと思います。このように一方的な指示ばかりでは、コミュニケーションが成立しているとは言えず、指示された事柄への活動意欲が低下していくものなのです。
これは、子どもとのコミュニケーションにも同じことが言えます。子どもが家庭で過ごす時間は年齢が上がるにつれ、時間が短くなっていきます。特に仕事をされている場合には、家事をやりながら子どものこともやってと、家に帰ってからも非常に忙しい状況です。そのような短い、限られた時間の中でも、食事・お風呂・宿題・翌日の準備などとやるべきことはたくさんあります。そうなると、ついつい「○○しなさい!」と子どもへの話し掛けが指示中心となり、一度の指示で子どもが動かないと徐々に声量が上がったり、怒りながら指示をしたりするようになっていることが多いのではないでしょうか。ただ、そのような伝え方は仕事での例のような状態であり、子どもは指示されたことへのモチベーションはあがりません。むしろテレビやゲームなどようやくやりたいことができる時間になったわけなので、指示された行動よりもやりたいことを優先してしまいます。
親からの一方的な指示
⇒ 親子コミュニケーションの不成立
⇒ 子どもの活動意欲(モチベーション)の低下

❀スムーズな行動を望むなら、キャッチボールを意識しよう!
やるべきことをやるように促すことは親として当然の役目ではあります。ただ、「子どもだから、親の言うことを聞くもの・聞くべき」 このような考えがある限り、やるべきことの指示を遂行できる子どもにはなりません。子どもは親の言うことを聞かないものです。子どもとは言え、一人の人として、子どもの状態に合わせて、子どもが受け取りやすい方法でのコミュニケーションが必要なのです。「○○しなさい!」と言い続けるのではなく、「○○はいつできる?」と今、子どもがしていることは認めるよというメッセージを送りつつ、やらなければならないことはできるように子どもに考えさせるのです。問いで投げかけることで、子どもは必ず受け取ることになります。その答えを親が受け取ると、きちんとキャッチボールが成立しています。指示ばかりしている状態は、一方的にボールを投げ続けている状態と同じことです。相手が取る準備ができていないので、気が向いたときには取ろうとするかもしれないし、気が向かなければ取ろうとしません。落としているものが多ければ、当然、子どもの行動としてやるべきことをやることには至りませんよね。
「○○しなさい!」ではなく、
「○○はいつできる?」「いつから○○する?」
お母さんとのお話の中で「約束してもできない」と言われることがよくあります。「○時から△△をやる」とやらなければならないことの時間を決めても、子どもは守れないという訴えです。ただ、これは残念なことに、よくよく話を聞いていくと、親の意向だけで決めていて、『約束』ではないことが多いのです。約束とはお互いに納得して成立したものです。子どもの意識は目の前のゲームなど好きなことで、片手間にお母さんの言うことに答えていても、子どもから今の活動を止めたりやるべきことをやるタイミングを引き出している場合は、ギリギリ約束として成立していると考えていいでしょう。でも、お母さんが決めた時間で「○時になったら△△しなさいよ!」と言って、『約束』と言っている場合も中にはあるのです。これは、約束ではなく、『指示』でしかありませんので、子どもが守らなくて当然です。忙しい日常の中では手間ではあるのですが、この一手間があった方が、その先の対応が行いやすくなることは多くあります。
一方的な指示は『約束』ではない!
『約束』は、子どもの意見も含められて初めて成立
「会話のキャッチボールができているか?」 これを意識して、一方的な指示になりすぎないことが、子どもの行動をスムーズに切り替えていくことにつながるのです。このように指示を伝わりやすくするには、ちょっとしたポイントを押さえて伝えることが大切となります。子どものタイプによっても対応の仕方が変わってくることはありますので、100%の子どもに通用するわけではありませんし、「指示したらすぐに行動する」という親にとって非常に扱いやすい子どものような劇的な変化が起こるわけではありません。それでも、少しやりとりのサイクルを変えることで、親子コミュニケーションに変化が生まれ、より良い親子関係に変化させていく可能性が生まれるのです。
.png?ssl=1)
一方的な指示が多いと、子どものモチベーションは低下
『指示』から『質問』に変えて、
キャッチボールを意識して、子どもに考えさせよう!
.png?ssl=1)