「何度も注意するのにできない!」
子育て中の家庭の中では、子どもへの関わり方で、誰もがそのような気持ちになったことがあることと思います。子どもの行動を変えるにはどうしたらいいのか? そんなことを考えたことがあるのも、一度や二度ではないことでしょう。
子どもの行動を変えるためには、
まずは、子どもの行動を正確に捉えることです!
『行動』という言葉の意味はイメージできる方が多いと思いますが、実は『行動』を正確に捉えることができる人は少なく、正確に『行動』を把握することは難しいものなのです。でも、子どものへの関わり方を考えるうえで、『行動』を正確に捉えることは、とても重要となるのです!子どもの『行動』を正確に捉えることができるようになることが、親子関係のサイクルを変えるためにより的確で短いルートとなるのです。
行動の捉え方が分かると、子どもへの関わり方が見えてくる!
子どもへの関わり方を変えることができると、
その後の子どもの行動が変わってくる!
❀『行動』の裏に潜む、たくさんの思い
『行動』の理解がなぜ難しいかと言うと、行動として現れているのは子どもの氷山の一角でしかないからです。子どもの行動の背景には、その時の気持ちや周囲の友達やきょうだいなどの行動、言葉の意味の理解や過去の経験などさまざまなものが影響し合って、『今の行動』として現れているのです。つまり、年齢が上がれば上がるほど、水面下の要素が多くなり、記憶や経験のボリュームが大きくなるために、大きな氷山が隠れていることになります。そのため、子どもが現わす行動の意味は複雑化してきます。反対に、年齢が低いほど、記憶や経験のボリュームが小さく、隠れている氷山は小さいために、子どもが現わす行動の意味も比較的容易に推測しやすくなります。
水面下に隠れている内容・量は様々なために、年齢によって、その行動をどう解釈するのかは変わってきます。また、当然ながら、子どもによっても変わってきます。では、そもそも行動というのは、どのように獲得されていくのでしょうか。子どもによって、年齢によって、様々な解釈が必要となる行動一つひとつを一般化してお話することはできないため、行動の獲得プロセスに沿って、どの子どもに当てはまることについて、説明していきます。
❀『行動』 の学習プロセスとは?
行動は単独で起きているわけではなく、行動を起こす直前には必ず何らかの状況が起きているのです(A.直前の状況)。その状況に対する反応が行動として現れているものです(B.行動)。そして、行動が起きた後にも、必ず何らかの反応があります。行動したことに対して、その行動が受け入れられる・認められる・褒められるというポジティブな評価か、その行動が受け入れられない・認められない・叱られるというネガティブな評価が与えられるのです(C.対応・結果)。
この「C.対応・結果」がどのように与えられるのかによって、その後に類似の状況が生じた際にどのように行動をするのかということが変わってきます。小さな頃からの、子どもの行動→周囲の反応(対応・結果)→子どもの行動→周囲の反応(対応・結果)→…と繰り返されることによって、その子どもの行動のパターンが決まってくるのです。
子どもの行動を変える近道
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親からの対応・結果を変える
たとえば、お母さんと小さな子どもが一緒にスーパーに買い物に行ったときのことです。子どもは、「お菓子買って~!」と大きな声で駄々をこねています。自分の子どもがそうでなくても、少なからず、こんな場面を目撃したことが一度や二度はあるのではないでしょうか。この子どもの「駄々をこねる」という行動に対して、お母さんがどう対応するのかということで、子どもが今後、同じようにスーパーに買い物に行ったときの行動のパターンの大枠が決まってくるのです。
対応の仕方としては
① 騒がれると困るから、子どもの希望通り買う。
② 「1個」など条件を決めて、買う。それ以上は、騒いでも買わない。
③ 「今日は買いません!」と、子どもが騒いでも聞き入れない。
まず、①の対応をした場合の子どもの今後の行動の学習としては、「大きな声で駄々をこねる」→「お菓子を買ってもらえる」となります。直前の状況は、スーパーのお菓子売り場です。そのため、「今後、スーパーのお菓子売り場(A.直前の状況)」→「大きな声で駄々をこねる」→「お菓子を買ってもらえる」という行動パターンを学習します。
次に②の対応をした場合はどうでしょうか。こちらも「大きな声で駄々をこねる」→「(条件は付くが)お菓子を買ってもらえる」という学習になります。①と同様に、「大きな声で駄々をこねる」という行動をすることによって、お菓子を手に入れることができるのです。
では、③の対応の場合だとどうでしょう。こちらは、「大きな声で駄々をこねる(B.行動)」→「お菓子を買ってもらえない(C.対応・結果)」となっており、「大きな声で駄々をこねる」ことがお菓子を手に入れるための手段としては成立していないため、子どもの行動パターンとしての獲得には失敗しています。
このように、行動をすることによって子どもが望む結果が手に入った場合には、その行動が獲得されます。反対に、行動をしても子どもが望む結果が手に入らなかった場合には、その行動は獲得されないため、今後、別の行動の獲得を試みることにつながっていきます。
子どもの年齢が低いうちは、まだ行動パターンの習得段階なので、子どもの行動に対する反応の仕方を変えることで、容易に行動を変えていくことができます。一方で、年齢が上がってくると、ある程度の行動パターンが獲得されてきているため、その行動パターンを崩して新しい行動パターンの学習を促すことになるため、小さい頃に比べると、時間とエネルギーが必要となります。それでも、これまで行ってきた反応を変えることにより、子どもの中では今までと同じ行動に対する反応が変わったということになるため、ゆっくりとではありますが、変化させていくことはできます。
子どもの行動を変えるための近道とは、
子どもの行動を正確に捉える
⇒ 子どもの行動に対する反応(関わり方)を変える!