❀なぜ“質問”が大切なのか?
質問の仕方について、考えたことがある人はどのくらいいるでしょうか?
日常の会話を振り返っていただくと、おそらく夫(妻)や子どもに質問をしていることは多いことでしょう。
質問には、2つのタイプがあります。
- 欲しい答えを得る
- 気付きを得る
日常の中で、どちらのタイプの質問をしていることが多いでしょうか?
おそらく「1.欲しい答えを得る」質問が多いという人がたくさんいるのではないかと思います。
たとえば、「何時にお風呂入る?」、「いつになったら宿題やるの?」などが①の質問ですね。
これは、親として、家事の計画を立て、日常生活をスムーズに回していく上で、日常茶飯事なことかと思います。
ただ、これは、親主体で、親の都合に合わせて、子どもを動かすために問いかけていることが多くなります。
1の質問を絶対にしてはいけないということではありません。
1の質問ばかりになってしまうと、子どものさまざまな可能性を潰すことになりません。
1の質問ばかりを続けていると、親にとっても、大きなデメリットがあります。
子どもが小さいうちは、問題はないかもしれません。子どもの年齢があがっていくにつれ、子どもは自分の意思を強く持ち始めます。そんな中で、1の質問ばかりをしていると、親から見ると、「言うことを聞かない!」「子どもは好きなことばかりやっている!」とイライラが高まる機会が増えていきます。
その結果、ただでさえ難しいと言われる思春期になると、親子関係がうまくいかなくなり、日常生活のやるべきことすらも、ままならなくなるという状態にもなりかねません。
そこで、「2.気付きを得る」質問が重要となるのです。
1の質問は親主体であるとお伝えしましたが、2は子ども主体になります。
「子どもの意見なんて聞いてたら、家事が終わらないよ!」という声も聞こえてきそうですね。
確かに、最初のうちは、大変かもしれません。
でも、長期的に考えると、子どもの意見を汲み入れた方が、圧倒的に楽になります。
それは、なぜでしょう?
仕事の場面や旦那(妻)からの頼まれ事などを思い浮かべてみてください。
「あれやって、これやって。次はこれね」と自分の意思や気持ちと関係なく、次々に指示を伝えられたらいかがでしょうか?
おそらく、やる気は低下すると思います。
一方で、「これやってほしいんだけど、できる? いつだったら、できそうかな?」などと聞かれて、伝えられたらいかがでしょうか?
おそらく、出来る方法を考え、前向きに取り組む姿勢が作られると思います。
これが、「1.欲しい答えを得る」質問と「2.気付きを得る」質問の大きな違いです。
1は、質問とは言っていますが、質問の形をした指示のことの方が多いのです。
つまりは、質問の仕方次第で、子どものモチベーションを上げることも、下げることもできる。
最初は、モチベーションが上がるというだけでも、それが続くと、自分で考えるようになる。
そうすると、自分で行動するようになる。
このような流れで、親からの「1.欲しい答えを得る」質問=指示の機会が減っていくのです。
「急がば回れ」ということわざがあるように、短期的に見れば「1.欲しい答えを得る」質問で子どもを動かしていくと楽かもしれませんが、長期的に見ると「2.気付きを得る」質問の方が良好な親子関係、ひいては子どもの将来の社会生活にプラスに働いてくるのです。
❀これからの時代を生き抜くために必要なスキルとは
今は、IT化に伴う急激な変化が生じている時代です。そこに加えて、コロナ感染症の流行。
急激なIT化に伴う時代の変化というだけでも、親が生きてきた時代と、これから子どもが生きていく時代は大きく変わっていました。つまりは、親の“あたり前”が、子どもには通用せず、“あたり前”と感じる価値観が異なってきているのです。
そこに、コロナ感染症で、テレワークやリモート授業、外出自粛など、これまた急激な変化を求められるようになってしまいました。
急激なIT化による変化では、個人の得手・不得手や必要性などにより、個人の判断で自身の生活(人生)に取り入れる・取り入れないを決めることができる範囲が広くありました。
一方で、コロナ感染症による変化では、その個人の置かれている立場(学校や職場)により、組織的な判断によるところが大きくなります。個人の考えや気持ちは、置いてきぼりにされ、人による考え方の違いも色濃く出てきました。
日本国内でコロナ感染症が流行し始めて、1年が経ち、まだまだ終息の目途も経たない状況です。
これからの時代がどのようになっていくのか、誰も予測できない状況となっています。
そのような時代の中で、これからの未来を生きる子どもたちが、社会生活を送るにあたり、充実した人生を送るにあたり、求められるスキルとは何でしょうか?
細かく言い出すと、もちろんたくさんあるのですが、土台として考えたときには、特に重要なものとして、大きく3つあると考えられます。
- 主体性
- 柔軟性
- レジリエンス
「1.主体性」とは、自分で考えて動く力のことです。
十年後には、多くの仕事がロボットに代わり、なくなると言われている時代です。ロボットではできない“考える”ことができる人こそ、社会で重宝される人となります。
「2.柔軟性」とは、さまざまな状況に適応する力です。
この一年で、コロナ感染症による急激な社会の変化を誰もが経験してきました。それ以前から、急激なIT化に伴い、状況は大きく変化してきているのです。このような変化にうまく適応できないと、社会生活の中で大きなストレスを感じ、しんどさが多くなります。変化に柔軟に対応することができる力を持っていると、ストレスの程度も少なくなります。
「3.レジリエンス」とは、聞いたことがない、初耳という人も多いかもしれませんね。
柔軟性と少し似たところはありますが、心の回復力やしなやかさという意味です。これは、失敗や挫折など何かうまくいかず、気持ちが落ち込んだときの立ち直る力になります。失敗は決して悪いものではなく、その失敗を次の機会にどう活かすかと考えていくことが重要となります。失敗を引きずって立ち止まってしまうのではなく、立ち直って、先を見ることができる力が、その人自身を成長させ、世界を広げることにつながります。
❀“質問”が人生を広げる5つの理由とは
1.人生をポジティブにする
“気付きを得る”質問は、投げかけられる機会が多いほど、「自分はどうしたいのか?」ということを意識するようになります。すると、自分にとって心地よい生き方はどういうものかを模索するため、人生をポジティブな方向に導く、ポジティブなものを引き寄せることが可能となるのです。
2.自分で考える力がつく
質問は、必ずしも答えがあるものばかりではありません。特に“気付きを得る”質問は、正解はありません。答えがない質問は、自分にとって何がよいのか、この状況では何が適当かなどと、さまざまな状況を考慮し、“より良い答え”を求めるようになります。
3.多様な考え方を知る
先ほど、正解がないと伝えた通り、同じ質問でも、人によって導き出す答えは異なることも多々あります。そのような人により異なる答えにたくさん触れていくことで、多様な考え方があることを知ることにつながります。時代の変化が大きいからこそ、日本だけでなく世界との繋がりも増えていく時代だからこそ、これからの時代は多様性を受け入れる力がますます求められていきます。
4.観察力が高まる
自分のことだけでなく、周りの人たちのことも考えることは欠かせません。質問を投げかけられることにより、その人が立てているアンテナをさまざまな方向に広げることにつながります。意識できていなかったことが確認できたり、一度質問されると以降はそれにアンテナが立ったりして、気付くことができる視野が広くなります。
5.他人に優しくなる
質問は、自分の置かれた状況を冷静に判断することでもあります。自分と他者を切り離して冷静な分析を行う力も高くなるため、他の人の気持ちを推し量る力も高まります。冷静な分析を積み重ねていくことで、自分にとっても、周りの人にとっても、“より良い”方法を考えることができるようになり、自分にも他人にも優しくなることができます。
❀親子で取り組んでみよう!
・できること探し
「出来ていないこと」ではなく、「出来ていること」を探していきましょう!
そして、「出来ていないこと」に対しては、「どうしたら出来そうか?」を考えてみましょう。それで考えた方法を試して、出来なくてもすぐに「出来ない」との評価をしないことが大切です。人により、出来るようになるためのプロセスは異なります。子どもの特性により、時間がかかる場合もあります。一週間の中で6~7割程度できればOKくらいの気持ちで、前回の方法よりもやりやすいかどうか、やりにくければ他の方法を考えてみようと“柔軟な対応”を心掛けてみましょう!
・いいこと探し
嫌なこと、しんどいことなどストレスとなるようなことは、たくさんあると思います。そんな中でも、良かったことも必ずあるはずです。何を良いと思うかは、人それぞれです。そして、大きな出来事である必要はありません。スイーツが好きな人であれば「コンビニの新発売のスイーツを食べた」とか、お笑いが好きな人であれば「お笑い番組を見て笑った」とか、そんな日常的な些細なことでいいのです。一日の出来事の中で、良かった・嬉しかった・楽しかったなどポジティブな気持ちを感じた出来事を、一言でもいいので、日記のように書き留めていきましょう! そのように“いいこと”に注目する習慣をつけていくと、前向きに捉えることができたり、人の良いところにも気付きやすくなったりします☆彡